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プールで二時間泳いで、エントランスに向かって階段を下りていたら、足を踏
み外した。踊り場だと思って大またで降りたのが1段早くて、思い切り踊り場
の床に落ちたのだ。運悪くブカブカのサンダルだったので、足首を内側に思い
切り90度曲げてしまって、激痛に立てなくなってしまった。すぐに足首はり
んごを埋め込んだように膨れてしまって、仕方ないのでプールのスタッフを呼
んでもらった。プールのスタッフは一見して「折れてると思います。救急車呼
びます」と。テキパキと氷で冷して、添え木の準備をしてくれた。プールのス
タッフの方に添え木してもらうまえに救急隊はすぐにやってきて、車椅子で運
びだされて広いところでストレッチャーに載せられた。えらいことだ。足は激
痛だったけど意識は100%清明だったので、救急隊の質問にははっきり答え
ていた。名前、住所、生年月日、電話番号、などあらゆる自分の属性、今日の
日付、怪我した状況、などなど。今日の日付などは意識の確認をするために聞
くようだ。ストレッチャーで救急車内に入れられて、その場で添え木の応急処
置をされた。ユーモラスな中年の救急隊員さんでそれ以降病院に搬送されるま
でいろいろな話をした。応急処置を終えると、搬送先病院の希望があるかどう
か聞かれるが特にないと答えると近隣の救急病院に電話で連絡をとってくれる
。しかし、どこも込み合っているらしく、1時間待ちとか、Fullと言われてし
まう。5,6箇所あたってもらって、阿佐ヶ谷の河北病院が受け入れ可能であ
ったのでそこへ向かうことになる。救急車、発車。救急車は進行方向右には窓
がなく、医療用の薬液やゴム手袋などがストックされていた。左がわには窓が
あるがカーテンが締め切られている。後部にも窓があるが、カーテンが閉じて
いた。救急患者の割には余裕があった私は、多分患者の気持ちを落ち着けるた
めに救急隊員がする世間話にがんがんノッて話してしまった。隊員の息子さん
がIT関係の仕事で週に二度しかいえに帰らないとか、ダイビングが趣味なので
ずっと泳ぐのは退屈で潜水できるプールにゆきたいとか、一日に多いと15人
くらい搬送して、金曜日には3人も死んだ人を搬送したとか、2人が硬直死体
だったとか。話を聞きながら片側では、天井に嵌め込まれたアルミの軽そうな
担架とか、頭を固定するためのヘルメットとか、機能的な内装に惚れ惚れして
いた。

途中、家のすぐそばを通過したので友人を下ろして、家から財布を持ってきて
もらいたいと告げると断られた。救急車は緊急で病院に搬送することを責務と
しているので、途中で止まることはできないのだそう。はたらくおじさんには
いろいろ事情があるんだな。自分と同じだ。

阿佐ヶ谷の総合病院につくと、医者と助手に軽くみたてられてレントゲン室に
案内された。その前に、そのとき財布を持っていなかった(プールの回数券し
か持っていなかった)ため、実家に電話して現金を持ってきてもらうことにし
た。この歳で実家に頼るのがほんとカッコ悪かった。保険証だけ持っていれば
クレジットカード決済しようと思っていたが結局、時間外なので正式な清算は
後日で、デポジットとして診察料で10000円、松葉杖のレンタルのデポジ
ットが5000円の計15000円を預けることに。カードがあっても仕方な
かった。友人君に貸してもらってなんとか乗り切る。

暫く待つと両親が到着して・・・
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