ランドマーク（吉田修一）

空港に行ったときに買った吉田修一（バーニーズにて）が，大層よかったので家にあった吉田修一を読み返していた．初期の短編集は読むと心がさざなみ立つ感じがしてとてもいい．音楽でも文学でも，ホッとするのではなくて不安な気持ちにさせられるのが好きだな．

読み返していた本のなかでワインを飲んでいる描写や酢豚を厳密に作る描写がおいしそうだったのでじょじょにワインを飲みながら料理をしたくなって，ついでに吉田修一の読んだこと無い本を買って読みたくなってきた．（ワインは一昨日も飲んだのでただの口実かもしれない）

勉強を終えて２２時くらいだったので，大阪に行ってる母に電話して，下高井戸に．書店にあった吉田修一のなかで読んでないのがいくつかあったけど，「ランドマーク」っていうのを買った．

ワインのお供にオードブルでも作ろうかと思って西友に出かけた．ただ買い捲るだけでは能がないので，ルールを作って，炭水化物，脂質，甘いものはNGにした．

連休らしく豪華にしようと思ってこしらえたのは以下のもの．おさしみ，キムチ，カニカマのマリネ，味付けうずら，クラッカー，乾き物二種（いか，鮭），サラダ，冷奴，チーズ二種，クラッカーは炭水化物だけど少量なので．クリームチーズを乗せたのと，ハム＆きゅうりを．

いつもはネットしながらうだうだとワインを飲むのだが，今日はあえてPCを落として，文庫本にがっつりと向き合った．

程よく酔いながらも結構，本に集中できて良かったな．またやろう．

ところでこの小説．

人間の描写が緻密でどの人にも違和感を覚えないのはいい．前の小説もそんな風．人間の周りに無数にある小道具なんだけど，新宿Kentos,下高井戸，クイアアズフォークとか，私になじみのある小道具が出てきた．
建築現場とか設計，大宮のヤンキー界とかホストクラブ，は私の知らない世界．首都高DVDも出てきたな．

この引き出しの多さはなんだろう．QAFなんてよく知ってるなー．

小道具はおいといて，人間としては主人公は二名いて，つかず離れず，軽く絡みながらストーリーが同時進行する．で，それで？？？って思った．

物語がなぜあそこで終わるんだろう．

この作品は，つかず離れず絡み合う二人の人間の姿を読むものなのか．最後に建造物のねじれの逸話が出てきて，それが何かの象徴なんだろうけど，うーんよくわかんないや．あ，もしかして小道具を楽しむ作品なのかも．